三人が、読む!~お題:『白石かずこ詩集成 Ⅰ』(書肆山田)

シミルボンで新企画が始まりました。「三人が、読む!」と題し、特定のテキストを徹底的に読んでいきます。

今回の面々は、黒澤俊邦さん(シミルボン編集部員・詩人)・田中里尚さん(文化学園大学准教授、文化史家・評論家)になります。

shimirubon.jp

『ブラマタリの供物 クトゥルフ神話ブックゲーム』(新紀元社)発売記念イベント

以下のリンク先からお申込みください!

 

2019/2/1(金)19:00〜
『ブラマタリの供物 クトゥルフ神話ブックゲーム』(新紀元社)発売記念イベント
フーゴ・ハルと語る、ゲームブック/ブックゲームの楽しみ方/つくり方(聞き手:岡和田晃)

 
<主催 岡和田晃氏よりメッセージ>

 きみはゲームブックを知っているか?
 ゲームブックは1980年代に一大ブームを起こした。ランダムにシャッフルされたパラグラフで構成された本であり、頭から読み進めることはできない。2~4ほどの選択肢から行動を選び、ときにサイコロで行動の成否を判定するため、「本とすごろく式のゲームがドッキングしたもの」などとも呼ばれてきた。ゲームブックはコンピュータゲームの高度化とともに衰退したというのが常套句だが、デジタルなノベルゲーム自体、ゲームブックと並行して発展してきたことが近年の研究で明らかになっている。
 世界的な流れとして、ゲームブックは徐々に再評価されつつある。プレイに多人数が必要なTRPGテーブルトークRPG、会話型のRPG)を気軽に遊べるソロ・アドベンチャーとしての可能性。あるいは、iPhoneのアプリケーションや電子書籍としての可能性。さらには、リアル脱出ゲームとの連動……。
 なかでも見過ごせない要素として、ゲームブックの「ブック=本」ならではのアナログ性が挙げられる。一貫してそれにこだわってきたのが、今回のゲストであるフーゴ・ハル氏なのである。つまり、「ブックゲーム」の可能性を追求してきたわけだ。
 実のところ、デニス・ホイートリー『マイアミ沖殺人事件』、フリオ・コルタサル『石蹴り遊び』、イタロ・カルヴィーノ『宿命の交わる城』、バーナード・ルドフスキー『人間のための街路』、ミロラド・パヴィチ『帝都最後の恋』、泡坂妻夫〈ヨギ ガンジー〉シリーズ……近年では円城塔「世界でもっとも深い迷宮」に至るまで、「ゲーム」と「ブック」の境界を扱った作品は数多い。
 このたび、1980年代からゲームブック業界に関わってきたフーゴ・ハル氏の初の完全オリジナルの単著『ブラマタリの供物 クトゥルフ神話ブックゲーム』(新紀元社)が、満を持して発売された。種々のユニークな試みが盛り込まれた本書だが、「ブック」の本来隠し持つ遊戯性に光を当て、新たな読書可能性を示唆するという意味で、ふだん「ゲーム」に馴染みがない読者にとっても入りやすいものになっている。
 本イベントでは、「ゲームブック/ブックゲーム」 を紹介したうえで、どうすれば「ゲームブック/ブックゲーム」 がつくれるか、というところまで一気に踏み込んでしまう。
――昔ながらのファンはもとより、面白い読書体験を求める人ならば、誰でも歓迎! 気軽にお越しいただければ幸いです。

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日時:2019年2月1日(金)19:00~21:00 (18:30開場)
場所:双子のライオン堂書店(赤坂6−5−21-101)
参加費用:事前予約:1500円、当日:1800円
参考URL:
ゲームブック温故知新――「ブックゲーム」という冒険」(レア原稿の採録あり)
http://analoggamestudies.com/?p=661

お問い合わせ:info(a)liondo.jp
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【出演者プロフィール】
フーゴ・ハル(Hugo Hall)
ダダイストフーゴ・バルにちなんだ名をもつ国籍不明の怪紳士。ゲームブック制作に1980年代黎明期から従事、以来運命に弄ばれるままに挿絵、ゲームデザイン、執筆をこなす。代表作に『グーニーズ アドベンチャーゲームブック』、『魔城の迷宮』(以上、二見書房)、『モービィ・リップからの脱出』、『虹河の大冒険』(以上、新紀元社)。ドイツ年間ゲーム大賞受賞作『シャーロック・ホームズ10の怪事件』(グレイディ、ゴールドバーグ、エドワーズ著)の日本語版(二見書房)に関わり、日本シャーロック・ホームズ大賞を受賞。モンティ・パイソン風のブラックユーモアが光るJ・H・ブレナンの〈グレイルクエスト〉や『ドラキュラ城の血闘』(創土社)の翻訳監修や挿絵も手がける。ボードゲームのデザインに、〈Yellow Hall Collection〉シリーズ(ホビーベース)がある。「Role&Roll」(新紀元社)に毎号、パズルエッセイやブックゲームを寄稿。「ウォーロック・マガジン」(グループSNE)にて「ゲームブックないしょ話」を連載中。脳内同居人(奥谷道草)の仕事として、「台湾旅行をゲーム化した」と評された『オモシロはみだし台湾さんぽ』、『もっとオモシロはみだし台湾さんぽ』(ともに交通新聞社)などがある。

岡和田晃(おかわだ・あきら)
巷では文芸評論家と呼ばれることが多いが、実はゲームの仕事は文芸よりもキャリアが長い。ゲームシナリオやリプレイ小説の執筆や翻訳は多数あるが、2018年、「ウォーロック・マガジン」連載の「無敵の万太郎とシックス・パックの珍道中」で、ついにゲームブック作家としても商業デビューを果たした。その前から、フーゴ・ハル氏のクトゥルフゲームブック「バーナム二世事件」(『ホームズ鬼譚』所収、創土社)、「レーリッヒ断章の考察」(『狂気山脈の彼方へ』所収、創土社)のディヴェロップメントにも携わる。『ブラマタリの供物』ではクトゥルフ神話関係の考証や、解説の執筆を手がけた。

『日本現代卓上遊戯史紀聞 [1b]安田均/補遺』発売!

 テーブルゲームファンフェスタ2018「日本のゲーム史」パネルの記録が『日本現代卓上遊戯史紀聞 [1b]安田均/補遺』(ニューゲームズオーダー、電子書籍、聞き手:岡和田晃)として発売になりました。なんと250円です!

Amazon

https://www.amazon.co.jp/dp/B07MQRCS9C/

・BOOTH

https://newgamesorder.booth.pm/items/1177787

・Gumroad

https://gum.co/sRRxp

 

 

旭川文学資料友の会編「友の会通信」第22号に「旭川文学私稿」を寄稿

 旭川文学資料友の会編「友の会通信」第22号(NPO法人である同会の機関紙)からの依頼原稿「旭川文学私稿」。5面全体にわたり、故郷の記憶と風土について語りました。なぜ文藝批評とゲーム作家の両方をやっているか、これを読めばわかります。
 ここにも書きましたが、私は旭川北高校少林寺拳法部の初代部長です。中井立先生のご指導とご協力のもと、一から同好会を作り、後輩たちと力を合わせ、部へと昇格させました。今でも部はしっかり存続しているようです
 旭川文学資料友の会は、常盤公園にある旭川文学資料館を運営している団体です。地元の文学者として、パネルにて岡和田晃をご紹介して下さっており、その流れでのご依頼になりました。ウェブでも再掲されましたので、リンク先から5面をご覧ください。

「図書新聞」2019年1月19日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四七回 シニシズムの連鎖を切断し、「男尊左翼」の傲慢をも退ける勇気」を寄稿

 「図書新聞」2019年1月19日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四七回 シニシズムの連鎖を切断し、「男尊左翼」の傲慢をも退ける勇気」を寄稿しました。辺野古への土砂投入、『日本国紀』、千葉×三浦対談のLGBT差別、落合×古市対談の優生学笙野頼子への異様な中傷を批判しつつ、以下の作品に言及しました。

目取真俊「闘魚(とーぃゆー)」(「世界」)
・崎山多美「ユンクサンド(or 砂の手紙)」(「三田文學」)
・生野毅「おくるみ」(「扉のない鍵」)
・酉島伝法「彼」(「たべるのがおそい」)
・日上秀之「はんぷくするもの」(文藝賞受賞作)
・山野辺太郎「いつか深い穴に落ちるまで」(文藝賞受賞作)
・「SFマガジン」のハーラン・エリスン追悼特集
小山田浩子「小島」(「新潮」)および「夜神楽の子ども」(「群像」)
金井美恵子「角砂糖、」(「新潮」)
多和田葉子「沈黙のほろびる時」(「新潮」)
・川﨑秋子「冬が来るから本屋へ行こう」(「すばる」)
・都甲幸治「本の読み方を教える――大学教師の仕事」(「すばる」)
ヤマザキマリとり・みきプリニウス」(「新潮」)
百田尚樹『日本国紀』(幻冬舎
・綿野恵太「ポリティカル・コレクトネスの汚名」(「読書人」)
・千葉雅也×三浦瑠麗「欲望と排除の構造」(「Voice」)
・宮内悠介「ローパス・フィルター」(「新潮」)
内藤千珠子「被傷性と呼びかけ 今村夏子「こちらあみ子」の世界」(「文学+」)
・落合陽一×古市憲寿「「平成が終わり、「魔法元年」が始まる」(「文學界」)
磯崎憲一郎「具体性・身体性の積み上げ」(「朝日新聞」)
笙野頼子「返信を、待っていた」(「群像」)
・古川真人「ラッコの家」(「文學界」)

 その他、柳瀬尚紀訳のジェイムズ・ジョイスフィネガンズ・ウェイク』、ルーディ・ラッカー『空洞地球』や奥泉光『新・地底旅行』、ピエール・ブロ『この狂乱するサーカス』、宮内勝典星川淳辺見庸上村英明らが参加した『非戦』、川上亜紀「三日観」、「グリーン・カルテ」、『あなたとわたしの無数の人々』、ナタリー・サロートの諸作にも触れています。

「図書新聞」2018年12月15日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四六回「「故郷」と「未来」の足場を揺るがす、「無責任の体系」の永劫回帰」が掲載

 「図書新聞」2018年12月15日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四六回「「故郷」と「未来」の足場を揺るがす、「無責任の体系」の永劫回帰」が掲載されました。今回は泊原発再稼働論への批判と、『北電への手紙』(マルコ出版)の再評価から始まり、以下の作品を取り上げています。

・麻生直子『端境の海』(北海道新聞文学賞詩部門受賞作、思潮社
赤坂真理「箱の中の天皇」(「文藝」)
・「新潮」の特集「差別と想像力――「新潮45」問題から考える」および千葉雅也「平成最後のクィア・セオリー」
モブ・ノリオ渡部直己はただ一匹か数千万匹か?」(「すばる」)
・長崎健吾「故郷と未来」(群像新人評論賞受賞作)
佐々木敦「FOR YOUR EYES ONLY――映像作家としてのアラン・ロブ=グリエ」(「文學界」)
・岸政彦「図書室」(「新潮」)
谷崎由依野戦病院」(「たべるのがおそい」)
・砂川文次「戦場のレビヤタン」(「文學界」)
・温又柔「誇り」(「すばる」)
・スティーヴ・ラズニック・テム「空腹」(待兼音二郎訳、「ナイトランド・クォータリー」)
スティーブ・ジャクソントロール牙峠戦争」(安田均訳、「ウォーロック・マガジン」)
山城むつみ「連続する問題」(「すばる」)

 その他、赤坂真理『東京プリズン』、アラン・ロブ=グリエ『快楽の漸進的横滑り』などについても触れました。なお、今回は「全道ブラックアウト」すべきところを「全道ホワイトアウト」と書いておりますが、これは時節柄ゆえのズレ、批評性が結果として出ているので、残しておきます。

「図書新聞」2018年11月24日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四五回 「政治」がもたらすリミッターの解除を、押し返すための「いかれころ」」が掲載

 「図書新聞」2018年11月24日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第四五回 「政治」がもたらすリミッターの解除を、押し返すための「いかれころ」」が掲載されました。今回は引き続き小川榮太郎の性差別から議論を始め、「リベラル」でも乗っかってしまう「女叩き」を批判しています。言及したのは、以下の作品です。

高橋源一郎「「文芸評論家」小川榮太郎氏の全著作を読んでおれは泣いた」(「新潮」、「Webでも考える人」)
・武田砂鉄「「きちんとした文章」で」(「文學界」)
・榎本櫻湖「それでも杉田水脈はわたしを差別してないと言い張るのだろうか」(「すばる」)
金時鐘「羽の行方」(「現代詩手帖」二〇一八年九月号)
・水溜真由美「『まっくら』再考」(「現代詩手帖」二〇一八年九月号)
笙野頼子「「アホフェミ」について」
・田村さと子「ホルへ・フランコ文学の女性たち」(「すばる」)
・三国美千子「いかれころ」(新潮新人賞受賞作)
・須賀ケイ「わるもん」(すばる文学賞受賞作)
・森田真生「隔たり(エカール)の彼方から」(「すばる」)
・金子薫「壺中に天あり獣あり」(「群像」)
佐々木敦「全体性と有限―ひとつの「小説」論」(「群像」)
渡邊利道「エヌ氏」(「ミステリーズ!」90、第三回創元SF短編賞飛浩隆賞)
樺山三英「エキゾティックな郊外?」(「小説トリッパー」)
・倉数茂「恋物語(ロマンス)の楽しみ」(「小説トリッパー」)

 その他、中上健次『地の果て至上の時』、藤野可織『爪と目』、トマス・M・ディッシュ「アジアの岸辺」、アラン・ロブ=グリエ「不滅の女」、J・G・バラード『ミレニアム・ピープル』、倉数茂「魔術的時空間」などにも言及しています。
 小説は「いかれころ」のクオリティに驚かされました。今回の時評は、「アホフェミ」などと理不尽な罵倒を受けた人たちにこそ読んでいただきたいと思います。