SFセミナーで「仁木稔と「HISTORIA」シリーズを語る」企画を立てます!


 さて、5月2日のSFセミナーも少しずつ近づいてまいりました。


SFセミナー
http://www.sfseminar.org/


 お待たせいたしました、SFセミナーの合宿企画(のうち、私が関係しているものの)第2弾を発表させていただきます。「神は細部に宿る」という諺を作品で体現したかのような小説群について語るという企画です!

●企画名:仁木稔と「HISTORIA」シリーズを語る


 『グアルディア』、『ラ・イストリア』で比類なき完成度を誇る物語世界を提示した仁木稔。その第三部『ミカイールの階梯』(早川書房SFシリーズJコレクション近刊、二分冊)を含む「HISTORIA」シリーズを、著者を交えて語り倒す!


【参加者】(予定):仁木稔、伊東総、岡和田晃(ほか)

 仁木さんのファンの方はもちろん、これから読んでみようかなという方も、読んだけれどここが解らなかったというあなたも、作者の方からの直接お話が伺える絶好の機会です。
 仁木さんはかなり意識的な方法論をもって小説を書かれている方なので、創作のメソッドについて関心のある方には有益でしょうし、新作『ミカイールの階梯』についてのこぼれ話なども飛び出すかもしれません。


ラ・イストリア (ハヤカワ文庫JA)

ラ・イストリア (ハヤカワ文庫JA)

 ちなみに、念のため釘を刺しておきますが、仁木さんの御本がアニメ調のポップな装いだからと言ってナメてかかってはいけません。表紙をガルシア=マルケスに替えるくらいでちょうどよい密度の作品です。
百年の孤独

百年の孤独

 私は長年設定マニアやっておりますが、日本の作家でここまで作り込まれた世界観を創造できる人って、本当に少ないのですよ。『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版の世界観として使いたいくらいです。


 以下、ひょっとすると、仁木稔さんをご存じない方もいらっしゃるかもしれませんので、「スペキュレイティヴ・フィクション」との関わりで、簡単に解説をさせていただきます。
 仁木稔さんは『グアルディア』、『ラ・イストリア』、『ミカイールの階梯』(近刊)などの、ラテンアメリカ文学の豊穣さとサイバーパンクの先鋭さを兼ね備えた作品群で知られる作品を書かれている方です。また、アニメーション『スピードグラファー』のノベライズも書かれていますが、これはアニメのスピンオフという領域に留まらない、非常に野心的な作品となっております。


 元来、スペキュレイティヴ・フィクションは「歴史」に弱いとされていました。
 すなわち、スペキュレイティヴ・フィクションが思考を扱うフィクションだとしたら、どうしても「思弁」という形で、小説に描く対象を概念に落とし込まざるをえなくなってしまいます。しかし、そうすると、過去の事実の積み重ねである「歴史」という大きな対象を捉えるにはいささか不十分な面があります。
 これは小林秀雄(「歴史とは何か」)の時代から、連綿と続くディレンマの1つで、いまだになかなか解決を見ていません。


 もちろん、「歴史」を扱うにあたり、ノーマン・スピンラッドの『鉄の夢』のような優れた解釈を示す作品が存在するのも事実です。バラードの『太陽の帝国』なども、「歴史」を正面から扱った作品ではあるでしょう。
 しかし、現代の日本において、スペキュレーションを巧みに形象化させつつ、「歴史」を単なる情報ではなく、作品世界そのものを成立させる条件として提示できる作家は多くありません。そのなかでも極めて優れた達成を示している例として、仁木さんの作品は味読に値すると太鼓判を押しておきます。
 綿密に事前学習を行なったパネリストたちによる濃密な空間をどうぞご期待下さい! 


 ちなみに、夜間企画の「どの時間帯」なのかはまだ決まっておりませんが、決定次第ご報告させていただきます。よろしくお願いいたします。


仁木稔さんのブログ:事実だけとは限りません
http://niqui.cocolog-nifty.com/blog/


SFセミナーの企画第1弾:「Speculative Japan」読書会
http://d.hatena.ne.jp/Thorn/20090407/p1