「SFファンジン」56号(復刊第2号)に、「生政治と破滅(カタストロフィー)――トマス・M・ディッシュ「リスの檻」および『キャンプ・コンセントレーション』再考」を掲載いただきました。

 お知らせです。セミプロジン「SFファンジン」56号(復刊第2号)に、「生政治と破滅(カタストロフィー)――トマス・M・ディッシュ「リスの檻」および『キャンプ・コンセントレーション』再考」を掲載いただいております。70枚の本格的な評論。
 この「生政治と破滅(カタストロフィー)」は2008年度の群像新人文学賞最終候補に残った作品を、トマス・M・ディッシュ再評価に焦点を当てる形で、徹底改稿したものでもあります。「群像」2008年6月号の選評と見比べていただいても、面白いかもしれません。
 批評は往々にして状況を批判するツールとなりますが、それでよく引き合いに出される類の作品よりも、もっと適切な作品を私はたくさん受容してきたという自負がありました。その意味で、ディッシュの小説を通してこそ、より深くつかむことのできる状況があり、批判的思考の糧となると考えたのです。徹底して反時代的に見える小説を読み込むことで、批評性を研ぎ澄ますことも可能なのではないか。ここ10年くらい私がずっと憑かれてきた主題ですが、その熱量が皆さまに僅かでも伝播することを祈念する次第です。
 各種イベントでも頒布されますが、この「SFファンジン」は送料込みで1200円。問い合わせは「全日本中高年SFターミナル」(担当:立花さん、メール madam_2001@mac.com)へどうぞ。

追記:SF乱学者の大宮信光さんから、拙稿「生政治と破滅(カタストロフィー)」について、「重厚な評論」「この評論を読むだけでも、送料込みで1200円の価値あり。 」と賛辞を頂きました。ありがとうございます。