「幻視社」7号の通販が開始されます!&「SFファンジン」3号増刷&「genkai vol.3」完売しました!

 昨日、2013年11月4日、東京流通センターで開催された「第十七回文学フリマ」にて、私のホームグラウンドであるところの「幻視社」で参加してきました。
 今回はとにかく忙しく、告知はTwitterが中心となってしまいましたが、沢山の方々にご来場をいただきました。「幻視社」の実売は67部で、前回より微増……ということは、過去最高の実績です(笑)。
 通販が開始されますので、遅まきながら、内容をご紹介。

「幻視社 第七号」未来/味蕾


    小 説
エンドケイプ 酢昆布」
渡邊利道 倒れるものすべて
佐伯僚 ネコノカミソリ


   特 集
国書刊行会未来の文学〉を読む
岡和田晃 「ニューウェーヴSF」の復活
未来の文学〉全作レビュー
ケルベロス第五の首 エンベディング アジアの岸辺 ヴィーナス・プラスX 宇宙舟歌 デス博士の島その他の物語 ベータ2のバラッド グラックの卵 ゴーレム100 限りなき夏 歌の翼に ダールグレン 奇跡なす者たち 第四の館
岡和田晃 ガザミ 東條慎生 渡邊利道


   小 特 集
没後十年・二階堂奥歯
佐伯僚 仮説を前提とした二階堂奥歯の自己同一性と性自認とは
佐伯僚×岡和田晃対談 二階堂奥歯 物語をまもるもの
特別寄稿エッセイ
高遠弘美 勝山海百合 高原英理


〈東欧の想像力〉を読む 追補2
イェジー・コシンスキ   異境
ラジスラフ・フクス    火葬人
メシャ・セリモヴィッチ  修道師と死
東條慎生


特別掲載 向井豊昭作品
向井豊昭 Saito-Hidekatu
岡和田晃 エスペラント小説「Saito-Hidekatu」のためのささやかな覚書

 〈未来の文学〉特集では、企画および巻頭言「ニューウェーヴSFの復活」を担当。また、若島正編『ベータ2のバラッド』、サミュエル・R・ディレイニー『ダールグレン』、ジャック・ヴァンス『奇跡なす者たち』のレビューを寄稿しました。さすがに〈未来の文学〉の認知度が高く、ブースにいらっしゃる方の反応も上々。叢書を未読だが、ブックガイドに使いたい、という声もありました。レビューのなかでは、ガザミさんの『ゴーレム100』のレビューが、ラブレーバフチンにからめて素晴らしい読解を披瀝されており、この怪作(褒めています)を読み解くサイドリーダーとして、お勧めできます。
 『八本脚の蝶』の復刊(増刷)を記念した「没後十年・二階堂奥歯」小特集でも、企画を担当しました。原稿のとりまとめも行ないました。佐伯僚(ツカサ)さんのコラムや佐伯×岡和田対談のほか、ゲスト執筆陣に寄稿をお願いいたしました。フランス文学者の高遠弘美さん、作家の勝山海百合さん、作家で批評も手がける高原英理さんのご寄稿をいただきました(!)。パリで在外研究を行なわれている高遠さんはさすがにご来場がかなわなかったのですけれども、当日は勝山海百合さんと高原英理さんが来てくださいました。購入者の方のなかには、生前の二階堂さんをご存知の方も複数おられ、喜んでいただき、企画者冥利に尽きる次第です。
 向井豊昭作品では、1976年に発表された私家版の単行本『ここにも』から「Saito-Hidekatu」(厳密な表記は訓令式ローマ字)を採録。これは、日本でのローマ字教育運動の先駆者として知られ、言語帝国主義を正面から批判し、事実上の獄死を遂げたエスペランティスト・斎藤秀一に取材した作品で、ローマ字とカナモジを駆使し、きわめて豊かな語りを提示してくれる作品です。8月に「早稲田文学6」でエスペラントを題材にした「用意、ドン!」が掲載されたことを受けた、「幻視社」からの返歌となります。「早稲田文学6」に寄稿した「二〇一三年の向井豊昭」と呼応する、向井豊昭をめぐる状況とエスペラントについての解説もつけました。当日は向井を知らないエスペラント関係の方がいらっしゃって「こんな作品があったのか!」と驚き、購入していくといった光景もみられました。
 通販については、幻視社編集の東條慎生さんによる、過去の案内をご参考になさってください。

通販を受け付けておりますので、遠方の方などは以下にご連絡下さい。


inthewall「あっと」king-postman.com


「あっと」を@に変えて送信して下さい。代金は送料不要で500円を銀行口座に振り込んで頂く形になります。手数料は各自ご負担願います。注文時には、宛先御住所と、希望の号(七号しかないですけれど)、欲しい冊数を明記してください。それだけお知らせ下されば、御住所等の確認のためのメールの行き来をせずにすぐ発送準備ができますので。

 文学フリマ合わせで出した、岡和田晃による批評の単著『「世界内戦」とわずかな希望 伊藤計劃・SF・現代文学』は、定価が2940円と決して安くない本なのですが、目標の倍近い39部が売れました。献本も入れると会場に持ち込んだぶんは、完全に捌けてしまいました(あ、じゃあ完売ですね(笑))。本当にありがとうございます。この本については、そろそろ書店やAmazonの流通が始まるので別エントリでご紹介いたしますね。

「世界内戦」とわずかな希望〜伊藤計劃・SF・現代文学 (TH Series ADVANCED)

「世界内戦」とわずかな希望〜伊藤計劃・SF・現代文学 (TH Series ADVANCED)

 また、隣のブースだった全日本中高年SFターミナルでは、「SFファンジン」復刊3号を取り扱っていました。この号には、私も座談会に参加していたのですが、なんと300部の増刷が決まったとのこと。
 限界研のブースでは、「伊藤計劃以後」特集の「genkai vol.3」を頒布。私は酉島伝報『皆勤の徒』小論(編集過程で削られましたが、タイトルは「〈日本的ポストヒューマン〉の脱構築――酉島伝法『皆勤の徒』小論」)を「伊藤計劃を読むためのn冊」に寄稿し、ジュンク堂書店池袋本店で行われた「未来を産出(デリヴァリ)するために」イベント再録、「『ポストヒューマニティーズ』を終えて」を寄稿しておりました。こちらは、なんと100部が完売しました! 予想外のご愛顧にとても感謝しています。