「GRANTA JAPAN with 早稲田文学」01のタオ・リン「ファイナルファンタジーVI」日本語訳をお手伝いしました。

 イギリス最大の文芸誌「GRANTA」が「早稲田文学」とコラボレートした「GRANTA JAPAN with 早稲田文学」が、早川書房から発売されました。こちらに、タオ・リンの「FINAL FANTASY III」の日本語版が収録されました。このたび、翻訳者の都甲幸治さんから依頼を受けまして、一部のお手伝い(翻訳監修)をさせていただきました。私はジュノ・ディアス『オスカー・ワオの短く凄まじい人生』日本語版のお手伝いをしましたが、そっち系の仕事だ、といえばわかりやすいでしょうか。監修の結果、タイトルはファイナルファンタジーVIへかわることに! むろん改竄したわけではありません。なぜそうなったのかは本文を読んでいただければ一目瞭然かと思います。
 衝撃的な表題は、いったい何を含意しているのでしょう。そしてジュノ・ディアスとタオ・リンの差は、世代に還元できるものでしょうか。腰に怪我をし、それを引っ張ってしまったので、東京国際文芸フェスティバルには参加できなかったのですが、世界文学が密かに盛り上がりを増してきているのは間違いありません。私がライターをはじめたときの苦境と比べると、状況ははるかに好転してきているように思えます。
 見本誌を実際に読んでみると「GRANTA JAPAN」じたいが面白すぎて、ページをめくる手が止まりません。また、挿入されたヴィジュアルを含めて雰囲気の維持が素晴らしく、雑誌じたいが一つのオルタナティヴ・コミュニティとなりえています。粗雑な言葉、出る杭を打つという閉鎖的な共同体感覚、それが日本的なるものの正体だったとしたら、別種の空間を雑誌という公器によって創り出そうとする強い意志を感じます。

GRANTA JAPAN with 早稲田文学 01

GRANTA JAPAN with 早稲田文学 01

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)

オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)