蓮實重彦「伯爵夫人」三島賞会見騒動(?)

 物書きは24時間物書きとして扱われるというか、葬儀で集まった親族に、蓮實重彦「伯爵夫人」の三島賞受賞の報について訊かれました。で、SNSを見てみてみたら、蓮實重彦愛のないコメントばかりで辟易。あれで驚くということは、本当に蓮實重彦って読まれなくなったのね……。ニューアカは遠くなりにけり。時評の内容ともリンクしますが、この会見がアカデミー・フランセーズに関連したロブ=グリエの振る舞いのパロディだということは、御大の「タキシードの男」を読んでいれば、わかりそうなものです。なので私が連載している文芸時評の第14回から、該当箇所を引用しておきます。会見報道を見るに、今まで出た時評で最良のものという自負はあります。
 前後の流れや文脈(例えば「物語」や「構造」が何を意味するか)が気になるという方は、ぜひ電子版をご購入ください(切り出した部分のみに反応するコメントに関しては、応答をいたしません)。
 ただ「伯爵夫人」に関して一言補足しておくと、あからさまに絵解きを要求する作品なのですが、そこに乗っかっても絵解きしてどこに行けるかという点がすでに見えてしまっているのは確かですね。作中の「ばふりばふり」が中村書店の漫画に由来、ということは、ひょっとすると小熊秀雄原作の漫画でしょうか。そこから解釈をスライドさせていったほうが面白くなりそう。


「〈世界内戦〉下の文芸時評 第14回 匿名という転倒した公共性は、いかなる回路へと通じているか」電子版
http://www.toshoshimbun.com/books_newspaper/week_description.php?shinbunno=3250&syosekino=9248



(※期間ものにつき抜粋公開、削除しました。電子版にアクセスしてください)