「図書新聞」連載「世界内戦」下の文芸時評、第二二〜二八回の取り上げた作品リスト

 こちらのサイトの更新ができていない間に、すっかり溜めてしまいました。以下、まとめます。


 「図書新聞」2016年12月10日号に連載「〈世界内戦〉下の文芸時評 第二二回 「思考する新たなコギト」が撃つべきシステムへと跳躍せよ」が掲載。されました。今回はアメリカ大統領選挙におけるトランプの勝利に始まり、以下の作品を取り上げました。

笙野頼子「人喰いの国」(「文藝」)
笙野頼子『ひょうすべの国 植民人喰い条約』(河出書房新社
加藤秀行「キャピタル」(「文學界」)
高橋啓「地中海の光、熊本の雨」(「片隅」)
・レーモン・ルーセル×坂口恭平『抄訳アフリカの印象』(國分俊宏訳、伽鹿舎)
・「現代詩手帖」の「黒田喜夫と東北」特集
長原豊「君は雑業層(ヤサグレ)の「遺恨」をうたったのか」(「現代詩手帖」)
・綿野恵太「黒田喜夫ポケモン」(「現代詩手帖」)
・樋口良澄「黒田喜夫と東北の〈自然〉」(「現代詩手帖」)
・町屋良平「青が破れる」(文藝賞
ジェフ・ヌーン「ノーレゾ」(金子浩訳、「S-Fマガジン」)
谷崎由依「囚われの島」(「文藝」)
・上村亮平「よっつの春」(「すばる」)
佐川光晴「月が踊る」(「文藝」)
服部文祥「息子と狩猟に」(「新潮」)
宮澤隆義「新たな「方法序説」へ――大江健三郎をめぐって」(群像新人評論賞優秀作)
・川口好美「不幸と共存――シモーヌ・ヴェイユ試論」(群像新人評論賞優秀作)
・山下洪文『夢と戦争 「ゼロ年代詩」批判序説』(未知谷)
 また、ジョージ・オーウェルパスカルキニャール来日時の佐藤亜紀小野正嗣とのパネル、『ポケモンGO』、荻原裕幸の短歌、『Ingress』、大江健三郎の諸作品、岸田将幸ほか、複数の現代詩人などにも言及いたしました。

 「図書新聞」2017年1月13日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第二三回 「解体と断片化の運動」が露わにした背理のメカニズム」を寄稿しています。今回は「文學界」の特集「新年 小説の饗宴」や「群像」の「五〇人が考える「美しい日本語」大特集」への批判から始まり、以下の作品を取り上げています。

・佐藤康智「反射し合う谷の記録」(「群像」)
蓮實重彦「不可視のフィクションとして」(「群像」)
林京子「敗戦のレガシー(、、、、)」(「すばる」)
高澤秀次「物語のプロレタリアート――津島佑子中上健次」(「すばる」)
・尾崎真理子「情熱か受難か 谷川俊太郎」(「新潮」)
・上田岳弘「塔と重力」(「新潮」)
高橋弘希「踏切の向こう」(「すばる」)
紅野謙介「学術メディアの変容と「編集」のストラテジー」(「日本近代文学」)
・大前粟生「回転草」(「たべるのがおそい」)
四元康祐「ミハエリの泉」(「たべるのがおそい」)
・ヤン・ヴァイス「遅れる鏡」(阿部賢一訳、「たべるのがおそい」)
アンナ・カヴァン「カウントダウンの五日間」(西崎憲訳、「たべるのがおそい」)
・茂木政敏「水晶と玄武岩――鷲巣繁男宛多田智満子書簡を読む――」(「未定」)
・岩崎美智子「「基地の街」の保育所前史――本土復帰前の沖縄・コザにおける託児施設」(「語りの地平 ライフストーリー研究」)
・新井かおり「貝沢正による「アイヌ」の再定義――戦後の初期アイヌ施策との応答から」(「語りの地平 ライフストーリー研究」)
・土田拓「境界線上への入植――北海道紋別市Sさんの戦後開拓体験」(「語りの地平 ライフストーリー研究」)
山城むつみユダヤ人でないカフカ」(「草獅子」)
その他、柄谷行人×高澤秀次中上健次津島佑子」、内藤千珠子中上健次ジェンダー」、内藤千珠子『愛国的無関心 「見えない他者」と物語の暴力』、上田岳弘「太陽」「惑星」、高橋弘希「指の骨」、四元康祐『世界中年会議』、ベンヤミン「翻訳者の使命」にも言及。

 「図書新聞」2017年2月11日号に、連載「〈世界内戦〉下の文芸時評 第二四回 ホモソーシャルな「日本人性」に回収されない批評を求めて」が掲載されています。今回は「すばるクリティーク賞」の設立にはじまり、批評を中心に以下の作品を取り上げました。

大澤信亮杉田俊介中島岳志浜崎洋介「来たるべき新人へ――すばるクリティーク賞創設」(「すばる」)
渡部直己斎藤美奈子「批評よ、甦れ――『日本批評大全』刊行に寄せて」(「文藝」)
・ジョ・ヨンイル「文学から自由になる」(すんみ訳、「すばる」)
・長濱一眞「終末のサドたち――二〇一五年の「反ヘイト」をめぐって」(「子午線」)
・マーク・ウィンチェスター「「ポスト真実」社会と先住民族 ――トランプと白人性の新位相」(「現代思想」)
・土佐弘之「システム危機の表象としてのスペクター(右翼ポピュリズム)」(「現代思想」)
・高原到「不可視の遭遇――原爆をめぐる「儀式」(「群像」)
山城むつみベンヤミン再読――運命的暴力と脱措定」(「新潮」)
・馳平啓樹「毛沢東の家」(「文學界」)
・金子薫「双子は驢馬に跨って」(「文藝」)
・黃英治「君が代アリラン」(「労働者文学」)
・大城立裕「辺野古遠望」(「新潮」)
エドガル・ケレット(秋元孝文訳)「ヒエトカゲ」(「すばる」)
・ウェレル(大野典宏訳)「海軍パレード奇譚」(「S-Fファンジン」)
 以上となります。小説が駆け足になってしまい恐縮です。その他、エイゼンシュタイン戦艦ポチョムキン』等にも言及いたしました。

 「図書新聞」17年3月11日号に「〈世界内戦〉下の文芸時評 第二五回「記述の異物」としてのバロック性を評価し、芥川賞マッチポンプを乗り越えよ!」を寄稿。森友学園問題、上野千鶴子の移民受け入れ反対発言、アパホテルでの「日本第一党」結成集会を批判しつつ、以下の作品を取り上げました。

木村元彦「見えざる日本の難民」(「すばる」)
目取真俊「やんばるの深き森と海より」(「三田文學」)
・スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ+小野正嗣「響き渡る「小さな声」の渦」(「すばる」)
・「大特集 当事者だけが知る芥川賞の真実」および又吉直樹「「火花」から二年、ついに二作目発表へ」(「文學界」)
滝口悠生「高架線」(「群像」)
桜井晴也「僕たちが語られる時間」(「三田文學」)
諏訪哲史「岩塩の女王」(「新潮」)
高原英理ブルトンの遺言」(「早稲田文学」)
・カトリーヌ・ロブ=グリエ「若き妻の日記 一九五七−一九六二年」(堀千晶訳、「早稲田文学」)
・「三島由紀夫 素顔の告白」(聞き手:ジョン・ベスター)および「太陽と鉄」(「群像」)※「太陽の鉄」は誤記。
・中野美月「海をわたる」(「三田文學」)
・「特集 下村康臣」および「室蘭」(「子午線」)
・伊藤浩子『未知への逸脱のために』(思潮社
・和爾桃子「親族たちが述べた英国作家サキ――オックスフォード大学ボドレイアン図書館所蔵ジャック・ランバート文書より」(「生活文化研究所年報」)
クラーク・アシュトン・スミス+藤原ヨウコウ「妖術師の帰還」(植草昌実訳)(「ナイトランド・クォータリー」)
関口涼子+金子奈美「小説の“声”を掬う――翻訳の現場から」(「すばる」)
その他、蓮實重彦『小説より遠く離れて』、アラン・ロブ=グリエ『快楽の館』、サキ『クローヴィス物語』および『けだものと超けだもの』といった作品にも言及いたしました。

 「図書新聞」の2017年4月15日号に、連載「〈世界内戦〉下の文芸時評 第二六回 文学で憑在論的な戦争は止められるのか? 止められる。」を寄稿いたしました。今回は3・11東日本大震災から6年ということを考え、関連して以下の作品に言及しました。

・「文學界」の「特集:新世代作家の肖像」
・倉本さおり「来るべき星座」(文學界
木村朗子「震災後文学の憑在論(hauntlogy)」(「新潮」)
・日野行介/尾松亮『フクシマ6年後 消されゆく被害――歪められたチェルノブイリ・データ』(人文書院
・斉藤武一『泊原発とがん』(寿郎社
・アニー・ル・ブラン「かつてあったこと、それは、これからも起こるだろう――シュルレアリスムと抒情による蜂起」(塚原史訳、「現代詩手帖」)
李恢成「地上生活者 第六部 最後の試み」(「群像」)
・温又柔「真ん中の子どもたち」(「すばる」)
笙野頼子「さあ、文学で戦争を止めよう――猫キッチン荒神」(「群像」)
 ほか、木村友祐『イサの氾濫』、ベンヤミン『ドイツ悲哀劇の根源』、H・P・ラヴクラフト、W・H・ホジスン、チャイナ・ミエヴィル、笙野頼子『ひょうすべの国 植民人喰い条約』等にも触れました。

 「図書新聞」2017年5月20日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第二七回 「超虚構」理論の敗北と、プラセボ効果としての政治力学」を寄稿しました。今回は筒井康隆の差別煽動発言とそれを擁護する古谷経衡らを批判しつつ、以下の作品を取り上げています。

筒井康隆松浦寿輝「小説家の名誉と恍惚」(「新潮」)
・G・ウィロー・ウィルソン『無限の書』(鍛冶靖子訳、東京創元社
宗近真一郎「「交換」、あるいは出来事のゼロ地点――柄谷行人における「形式化」の行方」(「大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター年報」)
加藤典洋「『水死』のほうへ――大江健三郎と沖縄」(「すばる」)
・今村夏子「星の子」(「小説トリッパー」)
・郄田有季子「乾き」(三田文學新人賞佳作)
オーガスト・ダーレス回転木馬」(小倉姿子訳、「ナイトランド・クォータリー」)
・沼田真佑「影裏」(文學界新人賞受賞作)
・田崎弘章「火を囲う者たちへ」(三田文學新人賞佳作)
・黒川英市「リンガの彼方」(三田文學新人賞奨励賞)
・太田靖久「リバーサイド」(「群像」)
・「現代詩手帖」「旅する現代詩」特集および「アイン・ゴック詩集」(道上史絵+新延拳+森井香衣訳)
・阿部久美『叙唱 レチタティーヴォ』(六花書院)
村上春樹騎士団長殺し』(新潮社)
椹木野衣「暗殺と森(フォレスト)――村上春樹騎士団長殺し』を透視する」(「新潮」)
 その他、宮内悠介作品等にも言及しました。

 「図書新聞」2017年6月17日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第二八回 他者を殺すこと、あるいは自己を殺すこと」を寄稿いたしました。今回は、東アジア反日武装戦線の大道寺将司が獄中死したこと、そしてミサイル発射の放送で不安を煽る官邸筋の問題をマクラに、以下の作品に言及。

辺見庸「奇しき生、奇しき死 大道寺将司とテロの時代」(「共同通信」)
・友常勉「武器を取れ――大道寺将司の俳句」(「反政治――HAPAX7」)
・中原清一郎「消えたダークマン」(「文藝」)
宮崎誉子「水田マリのわだかまり」(「新潮」)
岸川真「ヘリックス・B」(「文藝」)
池田雄一+位田将司+立尾真士+宮澤隆義「座談会 「文学」と「資本」」(「G-W-G」)
星野智幸「世界大角力共和国杯」(「新潮」)
高橋弘希「日曜日の人々」(「群像」)
・上原智美「天袋」(群像新人文学賞優秀作)
・李琴美「独舞」(群像新人文学賞優秀作)
・栗原飛宇馬「朔太郎が愛した〈不思議〉――手品・乱歩・『詩の原理』」(「萩原朔太郎研究会 会報」)
・石川輝子・鈴木ひとみ編『石川信雄著作集』(青磁社)
 その他、鎌田哲哉「「黒い男」はどこにいるか──新田進の焼身自殺について」、外岡秀俊『北帰行』、池田雄一「文芸時事放談」、小森健太朗『大相撲殺人事件』、アーサー・C・クラーク『月世界植民地』、横山悠太、温又柔、藤原龍一郎らの仕事も取り上げています。