法政大学経済学部2019年度シラバス(演習・現代マイノリティ文学)

※2019年度、サバティカルの代講として、1年の任期で法政大学経済学部の兼任講師にとして「演習」を担当します。以下、シラバスを公開します。

 

LIT207CA
演習
岡和田 晃
開講時期:通年 単位:8 単位 木曜4・5限

授業コード:
K7054

 

【授業の概要と目的(何を学ぶか)】
 「大学」という場で「文学」を学ぶことの意義は何かといえば、答えのない問いに向き合う粘り腰の姿勢、あるいは煽動に流されない確固たるリテラシーを獲得し、さらには自らの考えを適切に表現する技術を身につける、ということが一つの答えになるだろう。
 加えて、こと文学の場合、他に専門があっても、あるいは大学を出て働きながらでも、自分なりに考えを深め学習を続けていくことが可能だという強みがある。
 この演習では、受講生の皆さんとともに様々な観点から「独学者」として立つために必要な知的体力を培い、「読み」のダイナミズムの体感を通して、自分なりの表現スタイルを確保してもらうことを目標とする。
 すでに創作や批評など、何らかの表現を行っている人の参加を歓迎するが、これから手がけてみたいという人のきっかけ作りにもなればよいと考えている。

 

【授業の概要と目的(英文表記)】
The purpose of this seminar is to discuss and analyze representations of ethnic minorities in contemporary literature. In each session, a single participant will take charge of the class and present a report. Before the discussions, each student must read the assigned texts. Student grades will be evaluated according to the extent of their contribution to the seminar.

 

【到達目標】
 1 年という限られた期間ではあるが、そのなかで、できるだけ悪あがきをする。最終的には、「文学」のプロとして自分の手段と媒体を見つけ、思考を表現する道筋をつけることを目標とする。


【この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)】
ディプロマポリシーのうち、「DP8」「DP9」「DP10」「DP11」に関連

 

【授業の進め方と方法】
 ゼミは自由な思考実験の場であるが、散漫になることを避けるため、特定のテクストを事前に指定し、レポーターがそれを発表・主導する形で議論を進めていく。よくあるパワーポイント的な整理だけではなく、ロジカルな分析、小説や詩などの創作的な応答も認める。しかしながら、いずれの場合も、元のテクストへの敬意をないがしろにしてはならない。
 テクストは、講師が「図書新聞」で連載中の文芸時評で取り上げているような現代文学を扱う。とりわけマイノリティ(アイヌ民族在日コリアン、女性、LGBT など)からの視点や、作中でのマイノリティ表象に注目していきたい。
 政治を概観するに、現代社会は、すでに広義の紛争状況のさなかにあると言わねばならず、そのなかで言葉を紡いでいくこととは、どのような営為であるのかを、常に自覚していくこと。とはいえ、ただ単に「思想」を抽出するのではなく、表現の技術的な側面への目配せをも怠らないのが肝要である。
 また、必要に応じ、ゼミ内では世界の文学、哲学、歴史を随時参照していく。SF やミステリ、双方向的なストーリーゲーム等、従来の「日本文学」のパラダイムではマージナルに見られる領域の手法も軽視しない。
 ベースは読書会形式ではあるが、流れに応じて、フィールドワーク等の課外実習を行う可能性がある。


【アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)
の実施】
あり/ Yes

 

【フィールドワーク(学外での実習等)の実施】
あり/ Yes

 

【授業計画】
回 テーマ内容
1 ガイダンス・参加者自己紹介
ガイダンス・参加者自己紹介
2 『反ヘイト・反新自由主義の批評精神』を読解し、討議を行う
『反ヘイト・反新自由主義の批評精神』を読解し、討議を行う
3 読解・討議読解・討議
4 読解・討議読解・討議
5 読解・討議読解・討議
6 読解・討議読解・討議
7 読解・討議読解・討議
8 読解・討議読解・討議
9 読解・討議読解・討議
10 読解・討議読解・討議
11 読解・討議読解・討議
12 読解・討議読解・討議
13 読解・討議読解・討議
14 読解・討議読解・討議
15 読解・討議読解・討議
16 読解・討議読解・討議
17 読解・討議読解・討議
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19 読解・討議読解・討議
20 読解・討議読解・討議
21 読解・討議読解・討議
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25 読解・討議読解・討議
26 読解・討議読解・討議
27 読解・討議読解・討議
28 読解・討議読解・討議


【授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)】
 演習で扱うテクストについては、その前の回に告知や配布を行っておき、レポーターを含めた参加者が事前に読んでおくことを前提とする。演習外においても、可能な限り多くの作品に触れておくことが望ましい。

 

【テキスト(教科書)】
 マイノリティに対するバックラッシュの問題を現代文学の観点から扱った、岡和田晃『反ヘイト・反新自由主義の批評精神 いま読まれるべき〈文学〉とは何か』(寿郎社)。まずは、これを読むところから始めるので、初回授業までに入手しておくこと。以後、ゼミ生の人数や志向に合わせて、適宜課題となるテクストを選定していく。

 

【参考書】
 『骨踊り 向井豊昭小説選』(幻戯書房)。ほか、講義内で指示する。

 

【成績評価の方法と基準】
 演習への参加度(発言、応答、進行)による(100 %)。

 

【学生の意見等からの気づき】
 本年度授業担当者変更によりフィードバックできません。

 

【その他の重要事項】
 質問や教員へのフィードバックについては、学籍番号と本名を表題に記載のうえで、akiraokawada@gmail.com にまでメールすること。テストを兼ねて、初回の講義では、自己紹介文を、上記に送ること。
 なお、講師は2007 年から本名でライター活動を開始し、文芸評論とゲームデザイン(創作)の両方において仕事をなしてきた。「図書新聞」での「〈世界内戦〉下の文芸時評」(2015 年3 月より、月刊)ほか、現場で得られた知見も伝えてきいきたい。