『いかに終わるか 山野浩一発掘小説集』(岡和田晃編、小鳥遊書房)が発売予定

 『いかに終わるか 山野浩一発掘小説集』(岡和田晃編、小鳥遊書房)が発売予定です。装画は中野正一さん。

 単行本未収録の小説・未発表の作品をベースに構成、「死滅世代」「都市は滅亡せず」「嫌悪の公式」はじめ、反−未来思考、戦後文学史の結節点となる一冊のお目見えです。出し惜しみなしの貴重な作品ばかり。

 作品で描かれているのは「未来」ではなく現在なのです。安易な救済を拒絶する作品群の強度たるや。

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 「死滅世代」「都市は滅亡せず」「嫌悪の公式」はじめ、思弁小説(スペキュラティヴ・フィクション)を提唱し、普及させた第一人者による反−未来思考!

【収録作品】

1 「死滅世代」と一九七〇年代の単行本未収録作

死滅世代/都市は滅亡せず/自殺の翌日/数学SF夢は全たくひらかない/丘の上の白い大きな家/グッドモーニング!/宇宙を飛んでいる/子供の頃ぼくは狼をみていた/廃線

2 一九六〇年代の単行本未収録作

ブルー・トレイン/麦畑のみえるハイウェイ/ギターと宇宙船/箱の中のX 四百字のX-1/X塔 四百字のX-2/同窓会X 四百字のX-3/

3 21世紀の画家M・C・エッシャーのふしぎ世界

階段の檻/端のない河/鳩に飼われた日/箱の訪問者/船室での進化論の実験/不毛の恋/氷のビルディング/戦場からの電話/など全21編

4 未発表小説、および「地獄八景」

嫌悪の公式/地獄八景

解説=岡和田晃

 

山野浩一(やまの・こういち)

1939年大阪生まれ。関西学院大学在学中の1960年に映画『△デルタ』を監督。1964年に寺山修司の勧めで書いた戯曲「受付の靴下」と小説「X電車で行こう」で作家デビュー。「日本読書新聞」や「読書人」のSF時評をはじめ、ジャンルの垣根を超えた犀利な批評活動で戦後文化を牽引した。1970年に「NW―SF」誌を立ち上げ、日本にニューウェーヴSFを本格的に紹介。1978年からサンリオSF文庫の監修をつとめ、SFと世界文学を融合させた。血統主義の競馬評論家、『戦え、オスパー!』原作者としても著名。著書に『X電車で行こう』(新書館)、『鳥はいまどこを飛ぶか』(早川書房)、『殺人者の空』(仮面社)、『ザ・クライム』(冬樹社)、『花と機械とゲシタルト』、『レヴォリューション』(以上、NW―SF社)、『山野浩一傑作選』(全2巻、創元SF文庫)ほか。2017年逝去。没後、第38回日本SF大賞功績賞を受けた。

 

岡和田晃(おかわだ・あきら)

1981年北海道生まれ。文芸評論家、ゲームデザイナー、現代詩作家。「ナイトランド・クォータリー」編集長、「SF Prologue Wave」編集委員東海大学講師。著書に『「世界内戦」とわずかな希望 伊藤計劃・SF・現代文学』、『世界にあけられた弾痕と、黄昏の原郷 SF・幻想文学・ゲーム論集』、『再着装の記憶 〈エクリプス・フェイズ〉アンソロジー』(編著)(以上、アトリエサード)、『反ヘイト・反新自由主義の批評精神 いま読まれるべき〈文学〉とは何か』(寿郎社)、『脱領域・脱構築・脱半球 二一世紀人文学のために』(共著、小鳥遊書房)、『山野浩一全時評(仮題)』(編著、東京創元社近刊)ほか著訳書多数。「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」で「山野浩一とその時代」を連載中。第5回日本SF評論賞優秀賞、第50回北海道新聞文学賞創作・評論部門佳作、2019年度茨城文学賞詩部門受賞、2021年度潮流詩派年間最優秀評論賞受賞。