「図書新聞」2020年4月18日号に、〈「世界内戦〉下の文芸時評第六二回 緊急事態宣言に翻弄されない想像力の確保を!」が掲載

発売中の「図書新聞」2020年4月18日号に、〈「世界内戦〉下の文芸時評第六二回 緊急事態宣言に翻弄されない想像力の確保を!」が掲載。今回は、まさにタイトル通りです。ウイルス対応にまつわる棄民政策を批判し、消費税の廃止とベーシックインカムの必要性を訴え、以下の作品を取り上げています。


・木許はるみ「「要請」なのに罰則? ドイツから帰国した研究者が日本の「水際対策」に感じた違和感」(「毎日新聞」)および柳原伸洋の証言
テッド・チャン「Ted Chiang Explains the Disaster Novel We All Suddenly Live In」(「Electric Literature」)
・マリアンネ・タールマン「ロマン主義マニエリスム」(平井敏晴+高山えい子訳、「機関精神史」二号)
・柿木伸之「抗う言葉を分かち合う――芸術と批評の関係をめぐって――」(「群像」)
・砂川文次「臆病な都市」(「群像」)
・「文藝」の「中国・SF・革命」特集、およびケン・リュウ「宇宙の旅」(古沢嘉通訳)、佐藤究「ツォンパントリ」
藤井太洋「ルポ『三体』が変えた中国」(「文藝」)および『ワン・モア・ヌーク』(新潮文庫
・ホ・ヨンソンの詩集『海女たち――愛を抱かずしてどうして海に入られようか』(姜信子・趙倫子訳、新泉社)
・渡邉一『流謫と「北方」――鷲巣繁男の世界と成立と現在』(ミッドナイト・プレス)
・鈴木創士『離人小説集』(幻戯書房
・倉数茂「あがない」(「文藝」)
・バリェ・インクラン『独裁者ティラノ・バンデラス 灼熱の地の小説』(幻戯書房
・「思想」の特集「フェミニズムⅠ――身体/表象――」および木村朗子「女の戦争とフェミニズム――三枝和子の敗戦三部作を読む」
清水愛砂・久保田圭子『《世界》がここを忘れても――アフガン女性・ファルザーナの物語(寿郎社
向井豊昭「エロちゃんのアート・リポート① アートは立つ」(「早稲田文学」二〇二〇年春号)

 
 その他、クライトンアンドロメダ病原体』、小松左京復活の日』、デフォー『ペスト』、カミュ『ペスト』、ベンヤミンランシエールチャールズ・ストロスアレステア・レナルズ、目地谷=キルシュネライト、そして中坪央暁『ロヒンギャ難民100万人の衝撃』(めこん)等にも言及しています。

「図書新聞」2020年4月11日号にキャサリン・バーデキン『鉤十字の夜』の書評「ファシズムと女性差別の融合は現代日本の病理そのものである」が掲載

 発売中の「図書新聞」2020年4月11日号に、キャサリン・バーデキン『鉤十字の夜』(日吉信貴訳、水声社)の書評「ファシズム女性差別の融合は現代日本の病理そのものである フェミニズムディストピアSFの黙殺された古典」が掲載されています。かなり力を入れました。4000字ほどの書評です。

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図書新聞」2020年4月11日号

 今号の「図書新聞」では、渡邊利道さんの荒巻義雄論、陣野俊史さんの木村友祐論、坂田美奈子さんの小坂洋右論が載ってますね。今なら公式サイトに無料ログインしても読めますね。以下にご紹介にあずかり光栄です。

「Role&Roll」Vol.186に、『エクリプス・フェイズ』のシナリオ「土星の円卓の騎士、あるいは改竄された記憶の悦楽」が掲載

発売中の「Role&Roll」Vol.186に、『エクリプス・フェイズ』のシナリオ「土星の円卓の騎士、あるいは改竄された記憶の悦楽」が掲載されています。宇宙SFなのにアーサー王伝説の騎士たちを演じる、モンティ・パイソン風味の(?)ユーモアが楽しめます。リングフライヤー義体等の追加データもあるよ。

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Role&Roll Vol.186

Role&Roll Vol.186

  • 発売日: 2020/03/14
  • メディア: 大型本
 

 

SF Prologue Wave2020年3月号更新。「ザイオン・トラップト」(Part2)および「Role&Roll」Vol.185の『エクリプス・フェイズ』シナリオが紹介

SF Prologue Wave2020年3月号更新。伊野隆之さんの『エクリプス・フェイズ』シェアードワールド小説が、「SF Prologue Wave」に掲載されました。

 

・「ザイオン・トラップト(Part2)」伊野隆之

prologuewave.com

『月刊アナログゲーム情報書籍「Role & Roll」Vol.185「『エクリプス・フェイズ』シナリオ 闇のグラフィティ、あるいはゼロのスプラッシュ」』の紹介記事が掲載されています。

prologuewave.com

「ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館」が2020/4/2頃に発売

 私が編集長をしております「ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館」が2020/4/2頃に発売。

athird.cart.fc2.com

 ボルヘスにリスペクトを捧げたオリジナル・アンソロジー形式です。学魔・高山宏へのロングインタビュー。翻訳はジーン・ウルフ、ゾラン・ジヴコヴィッチ、ジェイムズ・ブランチ・キャベルほか。

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幻視者のためのホラー&ダーク・ファンタジー専門誌《ナイトランド・クォータリー》

vol.20の特集は、「バベルの図書館」。
その架空の図書館の存在は、
無限の知識と想像の集積をイメージさせます。
図書館と本へのインスピレーションから生まれた驚異の物語を集めました!

今号は特別増ページ!小説やインタビュー、レビュー、エッセイなど満載。

ゾラン・ジヴコヴィッチジーン・ウルフ、M・ジョン・ハリスン、
ジェイムズ・ブランチ・キャベルなど翻訳8編、
日本作家は井上雅彦樺山三英、橋本純。

また、高山宏ロングインタビューの他、
朝松健、安田均、白沢達生、岡和田晃などによる
エッセイ、ブックガイドなどなど読み応えたっぷりです!

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■主な内容
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【Story】
ゾラン・ジヴコヴィッチ「夜の図書館」/訳:山田順子
ジーン・ウルフ「シュザンヌ・ドラジュ」/訳:遠藤裕子
M・ジョン・ハリスン「奇妙な大罪」/訳:大和田始
サラ・モネット「バーナバス・ウィルコックスの遺産相続」/訳:和爾桃子
ピート・ローリック「ギブソン・フリンの蒐集癖」/訳:待兼音二郎
フランク・オーウェン「空を見上げた老人」/訳:渡辺健一郎
ジェイムズ・ブランチ・キャベル「デミウルゴスについて」/訳:垂野創一郎
アンジェラ・スラッター「生ける本、ソフィア」/訳:徳岡正肇
橋本 純「おかえりなさい」
樺山三英「post script」
井上雅彦「〈ミライ妖カイ幻視行〉第一話 深夜圖書館」

【Interview】
高山宏ロングインタビュー 「律儀な無頼」かく語りき――マニエリスムという人生作法」/聞き手・構成=岡和田晃

【Essay】
幻想の図書館へようこそ。/いわためぐみ
手触りのある音 〜音楽蔵書さまざま、バロック期を中心に〜 /白沢達生
「バベルの図書館」の解釈学/岡和田晃
図書館映画から生まれる不思議、書から生まれる映画幻想/深泰勉
夜の図書館――映画「龍宮之使」制作秘話/浅尾典彦
非在の書棚より/朝松健
古書蘇生者ピート・ローリックの小説世界/待兼音二郎

【Movie】
焚書に始まる小説愛好家のためのミステリ『9人の翻訳家 囚われたベストセラー』/深泰勉

【Serial】
〈アンソロジーに花束を〉第三回 ボルヘスのアンソロジー図書館/安田均

【Book guide】/岡和田晃
『図書館情調』から始まる図書館幻想文学の世界
今福龍太『ボルヘス「伝奇集」――迷宮の夢見る虎』を素描する――「バベルの図書館」の解釈学補遺
『パラドクシア・エピデミカ』と『アレゴリー
図書館という「人生の奇跡」――シュザンヌ・ドラジュの解釈学
魔術的な他者が神話を書き換える――ヴィクター・ラヴァル『ブラック・トムのバラード』
幻想文学の必修科目――ジェイムズ・ブランチ・キャベル《マニュエル伝》

表紙写真提供/映画「龍宮之使」

ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館

ナイトランド・クォータリーvol.20 バベルの図書館

  • 発売日: 2020/04/02
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 高山宏インタビューは3時間の内容をまとめました。
 翻訳はすべて本邦初訳であります。ゾラン・ジヴコヴィッチ世界幻想文学大賞受賞作より、J・B・キャベルは《マニュエル伝》の第1巻より、独立して読める部分を訳出しています。
 ハリスンは〈ヴィリコニウム〉シリーズの奥深い傑作。サラ・モネットは、キャサリン・アディスン名義『エルフ皇帝の継承者』の訳者の和爾桃子による訳。ピート・ローリックはCoCでお馴染みケイオシアムでアンソロジーを出していたパルプ愛満載のキム・ニューマン的元ネタ探し小説です。
 フランク・オーウェンは好評のダークな中華幻想を初訳で。アンジェラ・スラッターは女性の身体が本になったら……というジェンダー批評性あふれる作品。
そしてジーン・ウルフ! この作品の版権とれたときは嬉しかったですね。これは若島正さんが書評で言及しておられた傑作です。
 日本人作家、橋本純は架空戦記作家のイメージを良い意味で裏切る新境地。樺山三英「post script」は、「団地妻B」以来の小説新作。井上雅彦は、懐かしい伝奇ホラーをアップデートする連載の開始。朝松健はエッセイでの参加ですが、実話怪談のように読めます。
  白沢達生の音楽論、深泰勉の映画論、安田均連載は国書刊行会から邦訳が出ていたボルヘスの「バベルの図書館」叢書について。浅尾典彦はホラー愛溢れる映画の製作秘話。
 なお、今号はウイルス禍の影響等で、版元関連のイベントが続々中止し対応に追われる等があったため、発売が遅延して申し訳ありませんでした。内容はそのぶん、いっそう充実したものになったものと思いますので(増頁しております)、何卒ご購読のほど、よろしくお願い申し上げます。

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おかげさまで多数の予約を頂き感謝します! 書店様用のPOPもできました。

 

「図書新聞」2020年3月21日号に、林浩治さんとの対談「民衆史から「惑星思考」へ――近代文学が棚上げし、現代にヘイトとして現出した問題について考える」が掲載

 発売中の「図書新聞」2020年3月21日号に、「民衆史から「惑星思考」へ――近代文学が棚上げし、現代にヘイトとして現出した問題について考える」と題し、林浩治さんとの対談が5面にまるまる掲載。『在日朝鮮人文学』(新幹社)×『現代北海道文学論』(藤田印刷エクセレントブックス)刊行記念です。

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 私の言及は、綿野恵太『「差別はいけない」とみんな言うけれど。』やジョ・ヨンイル『柄谷行人と韓国文学』の問題点、「アイヌが沖縄のチュチェ活動家に操られて新法を成立させた」デマへのカウンター、「寄り添い」批判、向井豊昭小熊秀雄・今野大力らの現代的な意義について等になります。

 また、林さんとの対談では、新日本文学会、労働者文学会議、浮島丸事件、金石範、李恢成、李光洙、新たなプロレタリア文学としての韓国フェミニズム文学等の話題も出ました。

 なお、「図書新聞」はコンビニのマルチコピー機でも買えます。

e-shinbun.net

在日朝鮮人文学―反定立の文学を越えて

在日朝鮮人文学―反定立の文学を越えて

  • 作者:浩治, 林
  • 発売日: 2019/12/01
  • メディア: 単行本
 

 

「図書新聞」2020年3月14日号に「〈世界内戦〉下の文芸時評 第六一回 革命前夜、二重権力を解体させる結節点とは」が掲載

 本日発売の「図書新聞」2020年3月14日号に、「〈世界内戦〉下の文芸時評 第六一回 革命前夜、二重権力を解体させる結節点とは」が掲載されています。いよいよ、私の文芸時評も6年目に突入です。テーマは「政治と文学」。編集さんからの提案で肩書きも新しくなりました。
 今回は、コロナ・ウイルスを使用した「要請」の意味するもの、アンチ・フェミニズム的なバックラッシュ、「口頭決済」がもたらすものを論じています。タイトルは前々回の「開戦前夜」と対ですね。

 取り上げている作品は以下。

 

・テーオドール・シュトルム『従弟クリスティアンの家で 他五篇』(岡本雅克訳、幻戯書房
古川日出男の新連載「曼陀羅華X 2004」(「新潮」)
・絓秀実「小説家・大江健三郎 その天皇制と戦後民主主義」(「群像」)
沼野充義チェーホフとサハリンの美しいギリヤーク人――村上春樹大江健三郎からサンギまで」(「すばる」)
・宮内悠介「黄色い夜」(「すばる」)
高山羽根子首里の馬」(「新潮」)
・松崎有理『イヴの末裔たちの明日』(東京創元社
・「早稲田文学」二〇一九年冬号、二〇二〇年春号の特集「ポスト・フェミニズムからはじめる」、「私たちはいまや、ポスト・ポストフェミニズムなのか?」
・藤高和輝「「フェミニズム」に賭けられているもの」(二〇一九年冬号)で指摘されているように、「過去」と「現在」
四方田犬彦北朝鮮「帰還」船は新潟を出て、どこに到着したか」(「群像」)

 また、本文では、理論として、キム・スタンリー・ロビンソン(ロビンスン)「マットとジェフはボタンを押した」、フレデリック・ジェイムソン(ジェイムスン)「アメリカのユートピア」を噛ませています。
 その他、古川日出男ほか『オウムと死刑』、大江健三郎『青年の汚名』、宮内悠介『盤上の夜』、絓秀実『天皇制の隠語(ジャーゴン)』、『「帝国」の文学』にも触れています。「早稲田文学」を取り上げている文脈も本文に付記しました。

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 奇しくも、隣では樺山三英さんが、松崎有理『イヴの末裔たちの明日』の書評を書いておられますね。

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