DAC2008「SIBEYS STORMS!」


 DAC2008の2日目に『ダンジョンズ&ドラゴンズ』第4版のダンジョンマスターをしてきました。
 運営の方々、お声をかけてくださった方々、拙卓に参加して下さった方々、お相手いただいた方々、どうもありがとうございました。
 面識のあるなかで運悪くお話できなかった方もいましたが、別な折にでもよろしくお願いします。
 そろそろ簡易ルールとシナリオがついた『シャドウフェル城の影』も出るし、第4版の『プレイヤーズ・ハンドブック』も12月5日に出るというし、これからも『D&D』にますます期待ができますね。

シャドウフェル城の影 (ダンジョンズ&ドラゴンズ H1 英雄級アドべンチャー・シナリオ1)

シャドウフェル城の影 (ダンジョンズ&ドラゴンズ H1 英雄級アドべンチャー・シナリオ1)

 それでは以下、プレイリポートになります。DM向けアンケートを参照したところ、シナリオは特に高い評価を頂くことができた模様です。ありがとうございます!

■パンフに出たセッション説明
12C3 - “SIBEYS STORMS!”
LV:2
DM: 岡和田晃

 RPG雑誌「Lead&Read」(アークライト/新紀元社)のVol.1に掲載されている『D&D』リプレイ「Secret Struggles in Sharn」ならびに同誌Vol.3に掲載されている続編「In Search of the Draconic Prophecy」の外伝的なシナリオを、第4版で遊ぶという内容のセッションです。
 もちろん話は独立しているので、リプレイをお読みではない方も安心してご参加下さい。
 舞台はもちろん「エベロン」。さながら近代科学のように魔法が発達を遂げた世界です。
 摩天楼のごとき大都市があり、野には大陸横断鉄道"ライトニング・レイル"が走り、空には飛空艇が行き交います。
 この魅力的な世界をいち早く第4版で体験しましょう!
 第4版基本ルールに加え、ウェブサイト「D&D INSIDER」から引っ張ってきた、エベロン関係の資料を適座使用します。

 ちなみに今回のセッションの舞台は「塔の街」シャーンでした!

シャーン:塔の街 (ダンジョンズ&ドラゴンズサプリメント)

シャーン:塔の街 (ダンジョンズ&ドラゴンズサプリメント)


 リプレイの掲載誌は以下の2冊です。イラストは吉井徹さん。
 吉井さんのイラストを知らない人は、こちらあたりを参考に(リプレイとは直接関係ないイラストですが、吉井さんのイラストですし、キャッスル・ファルケンシュタインが好きなもので……)。

Role&Roll EXTRA Lead&Read Vol.1

Role&Roll EXTRA Lead&Read Vol.1

Role&Roll EXTRA Lead&Read Vol.3

Role&Roll EXTRA Lead&Read Vol.3


●"Sibeys Storms!"ストーリーの簡単なまとめ


 冒険者たちは、コーヴェア大陸諸国から(一人だけ「妖精の宮廷」セラニス出身のエラドリンがいましたが)、ブレランドの首都「塔の街」シャーンで一旗揚げるため、この大陸最大の都市へと向かった。


 足として使った"大陸横断鉄道"ライトニング・レイル内にて、「門を護る者」に仕えるシフター、アルヴィルダと出逢う一行。
 そんな折、車内をジャックしようとしてきた翡翠爪騎士団の雑魚どもを撃破。シャーンに到着後、駅舎にて感謝の証として金一封を渡された際、"ライトニング・レイル"を仕切るオリエン氏族のことを、急進派ウォーフォージドの一団、ロード・オヴ・ブレードが脅迫を仕掛けている、ということを知らされる。


 どうやってシャーンにロード・オヴ・ブレードが入り込んだのか? そのことを調べるために、パーティはシャーンの下層まで下っていく。ファイアーライト街区では、異形を崇めるカルト「地下竜教団」の信奉者たちが暗躍しているのがうかがえる。


 「地下竜教団」がピリピリしているのは、彼らが重視するカイバー・シャードが近年何者かによって乱獲されているからだが、アルヴィルダは何らかの理由で「門を護る者」のアジトに身を潜めていたリランダー氏族の女性セルグから、カイバーシャードが乱獲されているのは、ロード・オヴ・ブレードであるということを知らされる。


 アルヴィルダは、シヴィス氏族のメッセージサービスを使って、ロード・オヴ・ブレードの目論見を、シャーンの駅に潜んでいたチェンジリングのゼロックに知らせる。


 実はゼロックは、ブレランド国王直属の諜報組織、キングス・ダーク・ランタンの一員であった。
 彼は、魔法工学の専門家であるカニス南家がオリエン氏族へロード・オヴ・ブレードを使って脅しをかけている、と読んでいた。ロード・オヴ・ブレードがカイバーシャードを強奪して、それをカニス南家へ流しているのは自明だろう。
 アルヴィルダは一計を案じて、ロード・オヴ・ブレードのなかでも強力な連中が、カイバーシャードの鉱脈へ侵入する時間を突き止め、それを(チェンジリングであるゼロックの変身能力を生かし)地下竜教団の連中へ流すことで、両者を同士討ちさせようと企てたのだ。

 
 アルヴィルダを追ってきた一行は、まさに地下竜教団とロード・オヴ・ブレードが衝突しようと言う現場に出くわす。彼らにしばらく戦わせた後、パーティは残る連中を掃討し、カイバー・シャードを手に入れる。
 そして、ロード・オヴ・ブレードの計画を知ったため、オリエン氏族の上層部へ訴えかけることにする。


 シャーンの上方階層へ出かけた一行は、官邸街ハイエスト・タワーズで、遙か南、ゼンドリック大陸でしか起こらないと言われている「シベイの嵐」に巻き込まれた。
 これは、普段は天にあるシベイ・シャードが、突如隕石のごとく大量落下するという事態である。
 おそらくは、天と地の均衡を保つ法則、ひいては次元界同士を繋ぎ止める箍(たが)が揺らいでいるのであろう。
 オリエン氏族の重鎮から、「シベイの嵐」について聞かされた一行は、ロード・オヴ・ブレードの残党を討伐することで、カイバー・シャードの乱獲を防ぎ、「シベイの嵐」を止める必要があるということを知る。


 そのため彼らは、シャーンでカイバー・シャードの乱獲を続けるロード・オヴ・ブレードの残党を掃討しようとする。彼らはセルグの友人(というよりもいい仲)である飛空艇乗り、キャプテン・ロイヒルに話を聞くことにする。
 奇しくもキャプテン・ロイヒルによれば、シャーンにロード・オヴ・ブレードを密かに連れてくるような連中は、ロイヒルのライバルであるキャプテン・トロントに違いないだろう、ということである。


 トロントの出入りする劇場が「クラシック・シアター」だと突き止め、出てきたところを囲んで脅迫する一行。
 そうして、ロード・オヴ・ブレードのアジトを突き止める。彼らはドゥラ下層で、ウォーフォージド反対運動をしている貧民たちを密かに殺害して回っているらしい。
 トロントの情報をもとに、彼らは地下へ降りていくが、そこにはウォーフォージドたちと手を結んだ、もっと忌むべき存在がいたのだった……。


 ウォーフォージド・パラディンのトルーパー12が機能停止しかけたが、スキップの急所攻撃で敵を着々と仕留め、最後はアラミルのクリティカルで忌まわしい存在を撃破。
 あとは、ロード・オヴ・ブレードを放った後に(シャーンを離れ)ゼンドリックへ渡り、そちらで暗躍するカニス南家の陰謀を突き止めるため、パーティはキャプテン・ロイヒルの飛空艇「暁のトロール号」で、一路ゼンドリックへ向かったのだった……。


●パーティ構成


ジョン・スミス(ハーフエルフ・クレリック[バハムート])
トルーパー12(ウォーフォージド・パラディン[シルヴァー・フレイム])
スキップ(ハーフリング・ローグ)
アラミル(エラドリン・ウォーロック
ウェイン・ド=タラシュク(ヒューマン・ウィザード)


●注意した点(※オリジナルなアレンジを施している箇所が多いです。ご注意下さい)


・マスターリングは、身内で遊ぶ際よりも数倍感じよく、にこやかに。
・最近手に入れた、レアなメタルミニチュアを積極的に使う。
・「第4版は戦闘に特化しすぎ」という悪評を覆すため、シャーンでのシティ・アドベンチャーを中心に、ストーリー性を豊かにする。リソース管理が楽になったぶん、ストーリー的なフックを増やす。
・なるべく第4版的にエベロン世界を再解釈する。今のところ、大いなる大天輪は継続していることにして、その代わり物質界にもカラシュターの代わりに(「妖精の宮廷」セラニアから)エラドリンが入り込んでいることにする。
・"Magic of Eberron" "Dragons of Eberron"など、未訳サプリの設定も深みを出すために使う。
チェンジリングの処理は大変なので、NPCとして出す。いまのところ、公式では「チェンリジングはドッペルゲンガーで代替せよ」となっているので。
・ドラゴンマークの処理は、相当悩んだ。結果、獲得できるが、「皮剥がれ」扱いにされるということにした。
・また、シャーンは、秘術のPower Sorceが強力だという処理にした。「魔法」というものの概念が、根本的に第3.5版と第4版とでは異なっているので。
・第4版でデフォルトとなったバハムート信仰はそのまま使う。ただしそれほど知名度は獲得していないということにする。ティアマトも、かなり黒幕の黒幕になっているようだし。幸い、今回のPCの活躍(功績)のおかげで、バハムートはソヴリン・ホストの一柱になったということにした。
DMGに乗っていたSkill Challengeのルールをガリガリ活用する。面白いルールだね、これ。
・シティーアドベンチャーに時間をかける必要があるのでSoloやEliteは出さない。だがControllerのウィザードがいるのでMinionは大量に出す。その他、敵は敵で独自に動き、「別な連中と戦ってhpが削れた状況」を作ることで、長すぎるようになりそうな戦闘のバランス調整を行なっておく(ただ、テキトーにはしない)。
エベロンのギミックをたくさん登場させる。NPCはリプレイに出てきた連中をちょい役で登場させる。「リプレイを読んでいないからシナリオを楽しめない」という印象を与えないように気を付ける。
・まずはルール慣れしてもらうことが先決なので、"Riturals"はなるべく使わない。"Riturals"をばりばり持っていることが運用の前提とされているクラス、アーティフィサーは涙をのんで今回は使わないでおく。
・なるべく、第4版用にデータがある敵を出す。ダスク・ハグや、ドルガント、ドルグリムなど。