最近ブログが告知ばかりになっていてすみません。
拙いものですが、鼎元亨さんの新城カズマ論についての感想でもつれづれと書きましょう。お目汚しに。
http://blog.tokon10.net/?eid=1023194
まず、「ナガサキ生まれのミュータント」は、ものすごく感動して何度も読みました。その鼎さんの新作に触れられて幸せいっぱいです。直球勝負の新城カズマ論が読めて幸せでした。
新城さんには『イスベルの戦賦』という作品があるのですが(続きはまだー!?)、ロバート・E・ハワードとトールキン直系の架空世界を構築していて熱心に愛読していたものでした。
イスベルの戦賦(うた)―“天の踵”よ、来たれ (ファミ通文庫)
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かつて『極西文学論』という批評がありましが、戦後日本のアメリカの文化的な支配-被支配という観点から興味深い観点を提示していたものの、どうも新城さん的な過剰さが欠落している気がして、その点が不満だったのですが、この論でそのあたりのモヤモヤがうまく晴ました。
そういえば、新城さんは東京出身だったけど、12〜3歳の頃にアメリカへ留学して、そこでアメリカの『指輪物語』や『ダンジョンズ&ドラゴンズ』的なカルチャーを一身に浴びて育ったという逸話を思い出しました(「TRPGサプリ」4号)。
そしてこの論に書かれている通り、新城さんは物語構造、そして神話には極めて意識的である人だと思います。
「RPGamer」、「季刊R・P・G」という雑誌がありまして、そちらには、「若き人々のための架空世界設計講座」(柳川房彦名義)という連載がなされていましたが、そちらでも新城さんは盛んにこうした問題に取り組まれていました。例えば『300』の分析などもありました。雑誌が休刊になったためか、続編が読めず、また、単行本という形ででまとめて読むことができないことも、極めて残念です。
私が特に興味深かったのは、「公園」の神話的機能として、「神話的器官」、「内臓」、「血管」などの神話的な身体が挙げられていることですね。ジャン=リュック・ナンシーが『共同-体』(コルプス)にて、吉増剛増の『オシリス、石ノ神』を 題材にして、神話的身体と場所についての考察を寄せていたことを思い出しました。
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新城さんは理論から出発している人だと思われがちですが、私としては、徹底した実作経験をもとに理論を組み立てている人なのではないかと見ています。
新城さんの(柳川房彦名義での)処女作『蓬莱学園』*1は、もともとプレイバイメールという、郵便を使った数千人〜単位の人間が小説風の文章をやりとりしてRPGを進めるという巨大プロジェクトの草分け的存在でした。*2
そして新城さんはそのグランドマスター(総合的な監督役、総責任者)だったわけでして、『15×24』にも見られる、群像劇を書き分ける巧みさというのは、そうした背景が間違いなく根づいているものではないかと思っています。PBMやRPGと文芸との接点が、こんなところにもあったと再確認させられました。