『ダンジョンズ&ドラゴンズ』初心者卓の顛末


 2月24日のホビージャパンRPGコンベンションでの初心者卓にて、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(初心者卓)のダンジョンマスターをしてきました。

 最近、僕はホビージャパン関係のコンベンションでは、『ウォーハンマーRPG』のゲームマスターを勤めることが多かったのですが、今回は『D&D』の参加者が非常に多く、そのため久々の『D&D』マスターと相成りました。


 与えられたシナリオは非常にプレーンな内容だったのですが、来ていただいたプレイヤーの方々は、『D&D』のプレイ経験こそさほどないものの、他のRPGに親しんでおられた方が多く、ヒロイック・ファンタジーという世界観も、ルール的な思考も、飲み込みが非常に早い。これじゃあ、あまりプレーンにすぎても物足りないだろう。
 それゆえ、『D&D』ならではの楽しさ(世界の多様性)を味わっていただこうと思い、急遽、変更を加えることにしました。

 もともと舞台は日本オリジナルの設定であるトーチ・ポートだったのですが、DM次第で、街やダンジョンに潜る動機付けについて、変更を加えて構わないという旨が書かれていたので(それに、さほどトーチ・ポートという舞台が重要なシナリオでもなかったので)、どうせ僕がマスターをするのだからいまが旬の世界を味わってもらおうと、最新ワールドの「エベロン」を舞台として用いたのです。


 さて、このエベロンですが、スチームパンク風というか、サイエンス・ファンタジーというか、(少なくとも)僕にとっては、懐かしくもゲームとしての細部は作りこまれている設定なので、非常に扱いがしやすいワールドであります。
 そのため、ダンジョンの設定を、エベロン最大の都市「塔の街」シャーンへと変更し、シャーンのいちばん下層の部分、コグス地区より続く、アンダーシャーン(シャーンの地下)へとダンジョンの位置を変更しました。


 「塔の街」シャーンは、はるか昔に滅んだダカーン帝国というホブゴブリンの遺跡の真上に建設された都市なのですが、どうやらアンダーシャーンには、カニス氏族という「創造」のドラゴンマークを持った氏族の一部が、「最終戦争」(近年終結した、非常に大規模な戦争)時に、こっそりと建設した秘密の施設があるらしい。その施設が、悪しき者に牛耳られてしまったようだ、ということが、冒険を続けるにつれ、だんだんと明かされてゆく、という仕様にいたしました。


※ちなみにドラゴンマークとは、選ばれし者のみに発現する特殊な印のことで、これがあると、特定の擬似呪文能力が使えたりします。
 なお、ドラゴンマークを持つ者は、マークの種類によって氏族に分かれ、その特殊能力をうまく利用することで、シャーンのあるコーヴェア大陸のインフラストラクチャーや公共交通機関、銀行ネットワークなどを軒並み牛耳っているのですが、なかでもカニス氏族は、エベロン世界の代名詞ともいうべき、生ける人造「ウォーフォージド」を発明したことで知られる、謎の多い氏族なのです。


 このように、用意されたダンジョンのバランスを、可能な限り生かすように勤めつつ、エベロンならではの斬新な背景設定を堪能していただくべく、勤めました。やっぱり、初心者卓と言えど、設定の深みはRPGの華なので、僕の卓に来ていただいたうえでは、そういった要素を堪能していただかなければ嘘だろう、というわけです。
 結果、参加者全員から好評を得ることができました。
 ありがたいことです。 ご参加いただいた皆様、本当にありがとうございました。