『アポカリプト』を観る
感想、書いていませんでした。
僕は『ブレイブハート』を3桁は観ている男なので期待していたが、裏切られなかった。
ひどくシンプルなストーリー。極めて再現性の高いセット。野蛮さ極まりない衣装。痛そうな殴り合い。瞬間的に散りゆく命。素晴らしい。戦術面でも勉強になる。
しかし何より魅せられたのは、こうしたシンプルな運動性、原初的な物語の持つ力強さというべきものだ。スペイン船に「背を向ける」ラストも秀逸であるが、それはおまけに過ぎない。
あえて言えば、こうした原初的な運動性こそが〈文学〉だろう。
少なくとも批評のある種の出発点である、18世紀ドイツ、ホメロスの叙事詩を語るレッシングの文には、そのような問題意識が観られたものだった。〈作品〉そのものからあえて目をそむけがちな(現代日本における)批評的な言説の軟弱さがまかり通る現状において、ひどく痛快な映画ではあった。自戒を込め、噛み締めて観る。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2007/11/21
- メディア: DVD
- 購入: 2人 クリック: 63回
- この商品を含むブログ (98件) を見る