発売されたばかりの「TH(トーキング・ヘッズ叢書)」No.85「目と眼差しのオブセッション」。
特集に批評、「「肉体植民地」から『盲人書簡』へ〜寺山修司への敬意と、唐十郎『ジャガーの眼』」を書いています。
寺山修司を扱った唐十郎の戯曲『ジャガーの眼』を、ディドロ『盲人書簡』から読み直す試みなのですが、山野浩一の寺山追悼文や、佐藤憲一のチャールズ・ブロックデン・ブラウン論を援用しています。
また、連載「山野浩一とその時代」の(14)も掲載。「企業のPR映画と、劇団表現座への参画」と題し、山野浩一が関係した(新発見)映画作品。そして竹内健のイオネスコ演劇に山野浩一が関わっていたことを論じております。
加えて、以下の批評を監修いたしました。
■「屋根裏の散歩者」の愉悦〜無人格の視座のもどかしさが生む快楽●待兼音二郎
■いったい何を「いま見てはいけな」かったのだろう?〜ニコラス・ローグ監督『赤い影』●松本寛大
■嘘か真か夢か現か知らねども〜「見えること」の恩恵と呪縛●阿澄森羅
■〈少年の眼〉の逆襲〜ヘルマン・ヘッセ「少年の日の思い出」を読む●宮野由梨香
■街角からはじまる不条理〜panpanyaが「見る」世界●高槻真樹
特選街レビューでは、放克犬さんが、マイケル・ドズワース・クック『図書室の怪』(山田順子訳)を論じておいでです。
岡和田的な今号の仕事での収穫を1つ挙げるならば、やはり『ジャガーの眼』との出逢いかな。教えて下さった岩田恵さんに感謝。また、『竹内健戯曲集』(思潮社1968)は復刻していい一冊だと思います。収録作がいずれもハイレベルなので。