発売中の「図書新聞」2021年8月28日号に、〈世界内戦〉下の文芸時評 第七八回 二重思考の保守性に切れ目を入れ、紋切り型を吹き飛ばす倫理を導き入れること」が掲載されています。殺しの祭典を止められず「差別の祭典」としての「伝統」に棹さしている状況を批判し、以下の作品を取り上げました。
・ワニウエイブ「東京オリンピック開会式への怒りと絶望…ゲームへのリスペクトがない演出とそれをありがたがる人々が許しがたい」(Game Spark)
・反五輪の会編『OLYMPICS KILL THE POOR――オリンピック・パラリンピックはどこにもいらない』(インパクト出版会)
・川端裕人『空よりも遠く、のびやかに』(集英社文庫)
・図子慧「ライトニング」(「小説現代」二〇二一年七月号)
・オクテイヴィア・E・バトラー「話す音」(藤井光訳、「文藝」二〇二一年秋号)
・中西智佐乃「祈りの痕」(「新潮」)
・川瀬慈「さくら荘のチュルンチュル」(「文藝」二〇二一年夏号)
・酉島伝法「もふとん」(「文藝」二〇二一年夏号)
・笙野頼子『猫沼』(ステュディオ・パラボリカ)
・京谷裕影「琥珀色の宇宙に揺れる布――天牛美矢子・森山佐紀・山西杏奈」(「現代詩手帖」二〇二一年六月号)
・マリオ・バルガス=リョサ「ボルヘスとの出会い」(柳原孝敦訳、「すばる」)
・ピエール・ルヴェルディ『魂の不滅なる白い砂漠 詩と詩論』(平林通洋・山口孝行訳、幻戯書房)
・武子和幸「詩集『モイライの眼差し』のモチーフと詩が生まれるまで」(「詩と思想」二〇二一年六月号)
・ユング=シュティリング『ヘンリヒ・シュティリング自伝 真実の物語』(幻戯書房)
・山本惇二『モーリッツとその同時代人たち――ドイツ啓蒙主義・古典主義・初期ロマン主義』(鳥影社)
・北方文学研究会編『没後15年 文芸評論家・小松伸六の仕事』(「北方人・別冊」)および盛厚三、川口則弘の寄稿
・宮澤隆義「大江健三郎のquarantine」(「群像」)
その他、ゲーテ〈ウィルヘルム・マイスター〉、ブルーノ・ラトゥール等にも言及しています。
「図書新聞」はコンビニでダウンロード購入できます。バックナンバーも10年以上前のものから買えますよ。