第4回日本SF評論賞の最終候補となりました。
少し迷いましたが、既に発表がなされているようなので、黙っているとかえって不自然かと思い、書きます。
出先から帰ってきて朱鷺田祐介さんのブログ「黒い森の祠」を見ると……。
見出しに「SF評論賞最終選考に岡和田晃氏」とあってのけぞったのでした。
日本SF作家クラブのホームページを確認したら、本当に出ているぜよ。ホームページには結果出てから載ると、勝手に思い込んでいたよ……。
はい、僕は「ジーン・ウルフまたは「読み」の批判――ニューウェーヴSFを再考する」という論文を書いています。
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僕はオリジナルなジーン・ウルフへの接し方、従来の読みの地平を越えた読解、何よりいまウルフを読むことはどういうことか、SFとしての必然性とは何かを示した自信はあります。
自分の言葉で書き、獲る気で書きました。
記号の整理と操作にかまけた「政治」ではなく、先人の資産を真摯にふまえ「批評」をしました。立体的なものとして歴史を背負いました。そう、胸を張って宣言できます。
厄介な作家・作品でした。資料代は考えたくもないですし、苦労話もできますが、しません。
むろん拙稿は完璧ではないでしょう。拙いところがあると思います。
でも、書いていてこの仕事への意義を感じましたし、書き終えたとき、新しい地平が見えたのは確かでした。
どっしり構えて、判定を待ちます。
一喜一憂はしません。夢中で祈りもしません。
望むところは真剣勝負。
自分の意志でこの賞を選び、ジーン・ウルフというある意味「SF」と「幻想文学」ひいては20世紀(以降の)芸術そのものとも言える巨大な存在に本気で向き合い、この賞のために書いたからです。
必ず意地悪なことを言ってくる人がいるので、あらかじめ釘を打っておきますが、僕が「Speculative Japan」のメンバーだからといって(あるいはその他の理由で)贔屓(あるいは差別)するようなくだらない人は、選考委員には絶対にいないでしょう。
僕は、公正な裁定が下されると信じています。そうでなければ、応募した意味はありませんから。
待つ間も粛々と自分の畑を耕し、結果が出たら黙ってそれを受け入れ、今後の執筆活動に活かすつもりです。
※[はじめに]に断り書きがあります通り、意図を正確に伝えるため、表現を少々修正しました。また、悪戯と思われるコメントを削除させていただきました。